第四章 婉曲な気持ち

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「どうしたの?」 目に涙を浮かべる西牧に気づいた早美が尋ねてくる。 「口内が火事に…。」 西牧が混乱している。 「え!?え!?火事!?」 「早美、実は雛多の悪戯で俺に激辛コロッケ食べさせようとして間違って西牧に食べさせちまったんだよ。」 「えぇ!?何やってんのよあんたは!!」 俺じゃねぇだろ。 「しょ、消火器…。」 本格的に西牧がヤバイ、ってか可哀想…。 一応言っておくが消火器は口に使用したら駄目だよ。 「一与!はい水!!」 雛多がグラスに水をついでダッシュでかえってきた。 「…んぐっ…ゴク…ゴク…ぷはぁ…。」 西牧は速攻でグラスを受け取り、一気に飲み干す。 「ごめんね一与。大丈夫?」 「…まだヒリヒリする。」 そりゃそうだろ…。 まったく、雛多のやつ無茶苦茶やりやがって…。 「たく、少しは反省しろよな。」 「…むぅ。君がきちんと食べないからだ。」 不満そうに呟く雛多。 何で早美も雛多も俺が悪いみたいな言い方するんだ? …俺が…悪いのか? まぁ…西牧が食べるぐらいなら俺が食べてやってもよかったんだが、とりあえず雛多が作らなければよかったんじゃねぇのか? .
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