序章 出会いの必然性

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「おーい。ダイ。待てよ。」 ダイというのは俺こと、工藤 大助(くどう だいすけ)のことである。 今は至って普通の登校中である。 「待てって、そんなにさっさと歩いたらおいつかねぇだろ。」 と言いながら俺の肩をつかむ。 追いついてんじゃん。 「おぉ。淳。おはよ。」 淳というのは俺のとも…じゃなく、幼なじみでただの腐れ縁だ。 あからさまに気づいてなかったふりをする。 「おぉ…って、今気づいたのかよ。まっ。別にいいけど。」 細かいことは気にしない奴なんだ。 「それより今日からもう高二だな。」 淳はきっと何気なく呟いたのだと思う。 俺もぼんやり今までを少し思い返す。 特別優れた能力があった訳でもなく、モテた記憶もない。 まぁそれが運命ってやつだから仕方ない。 だから思い返しても意味がない。 例え俺が過去に戻ってもまた同じ結果になるんだと思う。 だって…運命だし。 「知ってる。」 素っ気なく答える。 「早いよなぁ~。こんな感じであっと言う間にオッサンになるのかねぇ~。」 未来のことなんてわからない。 でもそんな俺の知らない未来は…今まで俺が生きてきたみたいに…つまり『この学校に入学した』といったイベントがあったように…もうどんなイベントがあるか決まっている。 「そんな話は、いまは止めろよ。」 俺はあからさま不機嫌な顔で言い放つ。 「え?何?お前青春に浸ってんの?」 ニヤニヤと笑う淳。 「……………」 まったく、こういうウザイこと言わないなら良い奴なんだが…。 だから俺は淳を睨みつけてから先を急ぐ。 急いだからといって何かが変わる訳でもない。 おそらくここで俺が急ぐってことは大昔から決まってたんだ。 そうに違いない。 そんなくだらないことを考えてしまう。 もしかしてこんな風に考えるということも…。 多分これからさきも、運命という決まったレールの上を進んでいくのだろう。 …そして。 決められた通りに…消えてくんだ…。
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