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「お、おい。そんな睨むなよ。って待てよ。クラス一緒なんだから一緒に行こうぜ。お~い。ダァ~イ。」
ったくうるせぇな。こんな奴と一緒のクラスとはな…。
ただの腐れ縁だ。
神様も用意してくれんならもっとましな縁を用意してくれよ…。
「ダァ~イ、お前がそんな薄情な奴だとは知らなかったぞぉ~。」
相変わらず何やら後ろから叫んでる。
「あぁ~もう。てめぇこそ、て、うわっ。」
後ろにいる淳に向かって叫ぼうとして振り返った拍子に後ろにいた人にぶつかった。
「あっ…大丈夫!?」
一応自分は男だ。だからそれなりの体格がある。
だからぶつかってしりもちをつく人を見て驚く。
(やっべぇ~。女子じゃんか。)
さりげなく手を差し伸べてることに気づいた。
(別に必要ねぇか…。)
そう思い手を引こうとしたその時だった。
「気をつけろ。」
彼女はそう言って俺の差し伸べた手を掴んで、全体重をのせて立ち上がった。
「うわ、とっ…うがっ。」
急に力が加わったことでバランスを崩し、保とうとした奮闘も虚しく派手に転んだ。
「女一人の体重も支えられないなんて…ひ弱だな。」
「なっ…。」
「じゃ、私は急ぐのでまたな。工藤大助君。」
俺はしばらく状況整理が出来ず、その場にへたり込んでいた。
確かにいきなり振り返ってぶつかってしまったのは俺が悪いが…まさかの反応だ…。
もしかしたら…この時から…。
自分が勝手に決めていた運命のレールとやらから降り、自分で作ったレールの上を歩きだしたのかもしれない。
だってお前と出会ったこの時ってのは…俺が決めたんだからな。
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