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「お~い。大助。君は何をぼーっとしてるのかな?」
「…おぉ。早美。」
一日中神経をすり減らし、疲れきっていた俺に話しかけてきたのは、もう一人の腐れ縁である存在の池田早美(いけだ はやみ)である。
のんびりと楽しそうにたずねてくる。
「帰んないの?」
そしてどこか心配そうに俺の顔を覗きこんでくる。
「え?あぁ…そうだな…。かえろっ…って、うわっ。」
立ち上がったとたんにガタンと後ろにいた人にぶつかった。
「…っつてて、ごめん…ってうわ。」
後ろを振り返って心臓が止まりそうになる。
二度目だった。
神様ももう少し穏便にことを進めて欲しいものだ。
「…君はぶつかるのが好きなのかな?」
そこにはもちろん転校生今倉雛多がいた。
顔には不敵な笑みを浮かべている。
放課後ということで油断した…無念。
「い、いやっ。そういうわけじゃ。」
俺が慌ててると横から早美が彼女に話しかけた。
「あれ?今倉さん大助と知り合いだったんだ。」
「うん。朝ちょっとね。それに早美、私は雛多でいいと言ったろ?名字嫌いなんだ。」
「あは。ごめんごめん。」
親しげに謝る早美。
この二人こそ今日会ったばっかりなのに仲良しだな。
「お前らこそ仲良いな。」
「え?だって…お昼一緒だったしね。」
そう言うとおかしそうに笑った。
ふ~ん、なるほど、お昼を通じて仲良くなるとはな…。
まぁ早美はなかなか話しやすい奴ではあるが…。
「っというと、君は覚えてないんだな?。」
「へ?」
その言葉は何を意味してんだ?
「どうりで心ここにあらずみたいな気がしたんだ。」
早美がおかしそうに笑う。
一体何だってんだよ…。
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