第三章 大の字

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その後、俺と雛多は無事屋上に肥料を届けた。 屋上には早美と淳と西牧さんの姿しかなかった。 二人について聞くとなにやら香山さんが坂本さんを引っ張って何処かへいったらしい。 まぁ何か用事でもあったのだろう。 雛多もそのことについては追求しなかった。 もちろんこの問いに答えてくれたのは早美である。 淳は相変わらずあの調子で黙り込んでいる。 俺らが屋上の扉を開いても無反応で顔を伏せていた。 …そして西牧さんはそろそろサンドイッチを食べたらどうだろうか? 俺達がここを去ったときと変わらず口にくわえたままじゃないか。 元々口数が少ないのに、それではしゃべれないだろう…。 そして雛多と西牧は肥料を土に混ぜ始めた。 淳は相変わらずどこかボーッとしていて元気がなかった。 俺が早美の方を見ると目があった。 そして苦笑いを浮かべながら小さく「なさけないよねぇ~。」と言って首を横に振った。 まぁ…原因はわかんないけど…らしくはないな。 まったく、どうしちまったんだよ。 考えてもらちがあかないから放課後直接聞くしかねぇな…。 こうして俺らの昼休みは終わりを告げた…。 淳の様子が変だということ以外は普通のことだったと思う。 何の変化もない…ずっと続くと思えるような日常だった。 .
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