第三章 大の字

15/24
前へ
/290ページ
次へ
「へぇ~。心配してくれてたんだ。う~れしぃ~なぁ~。」 俺はわざとらしく言葉を引き伸ばす。 「むむぅ…大助のくせに…。まぁいい。心配していたことにしといてやる。だが、これでさらにペナルティプラス一だな。」 「…はいはい。」 結局またペナルティ増えるのか…。 ま、いっか、雛多の調子が少し戻ったし。 だが大助のくせにって言葉は気になるな。 早美といい雛多といい俺を少し見下しすぎじゃないか? 「おい。怪我人、大丈夫かい?」 早美が軽く右足を蹴りながら寄ってきた。 後ろには坂本さんもいた。 「…怪我人言うな。」 俺は少し怒った顔をする。 「こ、こら、早美。駄目じゃないか。」 そして雛多は慌てて早美を止めようとする。 まったく、せっかく雛多の調子が戻り始めてたのに。 「ところで今日はどうするんですか?」 坂本さんが尋ねてくる。 「取り敢えず一回部室に集合だ。」 「わかった。なら私は淳引っ張ってくるからみんなは先行っててね。」 そう言って早美が淳のもとへかけていく。 なんとなくわかることがある。 それはきっと早美が淳に何か聞こうとしていること。 まぁ今は早美に任せとくか…。 早美が任せろって言ってることだし…。 言ってない? おかしいな…。 俺には任せろって聞こえるんだけどな…。 .
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加