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「よし、じゃあ行こう。」
心底嬉しそうに笑う雛多。
まぁこれが一番いいんだけどな。
「なぁ雛多。」
「何だ?」
「松葉杖とっていいか?」
「絶対駄目。」
あのな…。松葉杖してたら鞄もって歩けんだろ。
すると雛多が手を差し伸べてきた。
「鞄なら私がもってやる。」
そういう訳にもいかないんだな…男として。
「…いいよ。何とかして松葉杖しながら持つから。」
「あの…私が持ちましょうか?」
「えっ!?あっ。それはもっと駄目。」
「もっと駄目?」
雛多が微妙な違和感に気づく。
「君は私より椿の方がか弱くて女の子らしいといいたいのか?」
『はい。そうです。』なんて言えるはずない。
「いや、その、特別な意味は無いんだよ。本当に、うん。」
「…よかろう。怪しいところだが…執行猶予五年で釈放してやろう。」
うわ~執行猶予の時点で俺有罪じゃん。
「でも本当に歩き難いですよ?」
坂本さんが心配そうに呟く。
「もういい。本人が大丈夫みたいだからいいんだよ。行くぞ。」
そう言って雛多は歩き出した。
まったく、一々疲れる奴だな…。
さて…俺も行くか…そうだ。あっちはどうかな?
俺はさりげなく早美と淳の方を見る。
何やら喋っているが相変わらずいつもの淳らしくなさそうだ。
早美も手こずってるな。
そんな事を考えながら何とか鞄を持ち、慣れない松葉杖で雛多の後を追った。
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