第三章 大の字

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屋上に着いたがまだ早美と淳の姿は無かった。 まぁ俺らが西牧さんを待っていた時間なんてたかがしれてるんだけどね。 雛多がベンチに腰掛ける。 …ベンチ!? おい、ちょっと待て!! いつの間にあんなベンチが…。 雛多の行動力に驚かせられながらぼんやり校庭を見下ろしていた。 するとひょこっと隣に西牧さんがやってきた。 「ど、どうした?」 「彼も。元気ない。」 「彼って…淳のことか?」 突然のことに少し戸惑う俺。 こいつでもやっぱり色々考えてんだな…あんまり表情読めないけど…。 「気にしてる…。」 「え?」 いつも以上に声が小さかったため聞き漏らす。 「…何でもない。」 そう言うとスタスタと雛多のとこに歩く。 「お、おい西牧。」 スタスタ歩く西牧を呼び止める。 「あなたなら…。」 振り返らずに喋る、が…。 なんでそこで止まるんだよ。 お前発言制限でもあるのか? 「…俺なら何なんだ?」 「別に…。それに…もう来る。」 「へ?」 来るって…早美たちが? 結構手間取っていたからまだじゃね? その瞬間ドアが壊れんばかりに開かれる。 バンッ。 「お待たせ。」 早美だった。後ろに淳がいるがやはり元気なし。 そして何より、西牧はなぜ来ることがわかったんだ? .
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