第三章 大の字

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「お前エスパーか?」 その問いに西牧はコリクと頷いた。 「マ、マジか!?」 慌てるアホな俺。 そんなアホな俺に西牧はこう続けた。 「冗談。廊下歩いてるのが見えた。」 と、よく見ると屋上から廊下が見えるようになってる。 ってかこいつも冗談言うんだな…。 「つまんない?」 相変わらずの無表情で尋ねてくる。 冗談を言った側も少しは笑って欲しいものだ。 「いや、お前の冗談をちょっと信じてしまった。」 そう言うと不思議な現象が起こった…いや、こういう表現は失礼なのかもしれない。 と言うのも…。 「そっか…。」 そう言った西牧の顔が笑っていたからである。 うぉ~!こいつも笑うんだ!と、失礼な俺。 そしてやはり人は笑うといつも以上に可愛く見えるものであるとつくづく思った。 「こらそこ。集合。」 そう言って雛多が俺らを指差す。 もう少し気をつかって欲しかったんだがな…。 あの西牧が笑ったんだぞ?もう少しこの雰囲気をだな…。 しかし呼ばれた西牧の表情はもとにもどり、スタスタと雛多の方へ歩いて行く。 そしてしかたなく俺は雛多の集合の呼びかけに応じた。 だって無視したらどうなるかもはや予測不能だ。 ま、そう言いつつも本当にどうなるかはわかっていたけどね。 .
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