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しばらく何を話していいかわからず歩いていると、突然淳が河原の土手で立ち止まった。
「ど、どうした?」
取り敢えず慌てる俺。
すると淳は自ら喋り出した。
「…俺って格好悪いよな?」
「え?」
突然何を言ってんだ?
「…お前と俺が二人になるように計らったんだろ?まぁ…これ以上迷惑かけるわけにはいかないからお前には話すよ。昨日のことだよ…。」
「昨日って、俺を転げさせたことか?」
こんなことで落ち込むやつだっけ?
少し疑問に思っていると淳はまた喋り出した。
「雛多めっちゃ心配してたよな?俺あいつに怒鳴られた時…自分のやってしまったことの大きさに気づいたんだ。」
…おいおい。大袈裟だって。
「そんなの雛多が心配し過ぎなだけだろ?」
「…それが駄目なんだ。俺だって最初お前が転げてるのを見てても『やっちまった』ぐらいしか思ってなかった。」
幼なじみとしてもちっと心配して欲しいとこだが…。
「でも雛多は違ったんだ。…焦った顔で全力疾走していくあいつをみたら、俺何やってんだろ…って思ってさ…。」
………。
「現にあいつは一番近くにいた俺よりも先にお前のとこに行った。そして俺に叫んだろ?あれがまた俺の心に響いてさ…。」
そう言って苦笑いする淳。
「今日の朝だって。五時半に俺んちに来たかと思えば今からお前を迎えに行くって、重いリュックと松葉杖抱えてやってくるんだぜ?…まったく。それなのに俺は雛多が来るまでお前が怪我してたことすっかり忘れてたんだぞ。」
………。
「マジ格好悪いよな…。雛多に心配させるようなことしといて…俺はもう何事もなかったみたいに…。」
なるほどね。
こいつの言いたいことはわかった。
雛多に心配させるようなことしといて自分だけお気楽気分だったことを情けなく思ってるわけね。
…まったく。
このアホ。
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