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「…格好悪いな。」
「え?」
「格好悪いなって言ってんの!!」
俺はさっきより数倍大きな声で叫ぶ。
「あ、あぁ…。だよな。」
淳が肩を落とす。
まったく、相変わらず手間のかかるやつだ。
「本当だぜ。そんなくだらんことでくよくよしてるお前は格好悪すぎる。」
「へ?」
「いいか。良く見とけよ。」
そう言って俺は松葉杖を放り投げ、土手を勢いよく駆け下りる。
「お、おい。ダイ…。」
淳が少し慌てる。
まったく、何て顔してやがる。
そして俺は河原まで駆け下りるとそのまま大の字に倒れた。
「お、おい。ダイ。大丈夫か?」
淳が駆け寄ってくる。
そして俺は叫んだ。
「何が大丈夫かだバーカ!ちっちぇんだよー!!お前が俺の怪我した足を蹴飛ばして、雛多に『大丈夫だ』って言わなくてどうすんだよ!!!」
「………。」
無言で立ち止まる淳。
あぁ~。
すっきりした。
こんなことだったのかよ。
俺の目には茜に染まった黄昏空が広がっていた。
あっ。
飛行機雲だ。
ラッキー。
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