第三章 大の字

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「…格好悪いな。」 「え?」 「格好悪いなって言ってんの!!」 俺はさっきより数倍大きな声で叫ぶ。 「あ、あぁ…。だよな。」 淳が肩を落とす。 まったく、相変わらず手間のかかるやつだ。 「本当だぜ。そんなくだらんことでくよくよしてるお前は格好悪すぎる。」 「へ?」 「いいか。良く見とけよ。」 そう言って俺は松葉杖を放り投げ、土手を勢いよく駆け下りる。 「お、おい。ダイ…。」 淳が少し慌てる。 まったく、何て顔してやがる。 そして俺は河原まで駆け下りるとそのまま大の字に倒れた。 「お、おい。ダイ。大丈夫か?」 淳が駆け寄ってくる。 そして俺は叫んだ。 「何が大丈夫かだバーカ!ちっちぇんだよー!!お前が俺の怪我した足を蹴飛ばして、雛多に『大丈夫だ』って言わなくてどうすんだよ!!!」 「………。」 無言で立ち止まる淳。 あぁ~。 すっきりした。 こんなことだったのかよ。 俺の目には茜に染まった黄昏空が広がっていた。 あっ。 飛行機雲だ。 ラッキー。 .
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