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暫く歩くと雛多の住むマンションに着いた。
何度見ても大きくて、迫力があり、格の違いを感じる建物である。
そしてそんなマンションを見たみんなの第一声が…
……………
………出ない。
「おほん。みんなぼーっとしてどうしたんだよ。」
俺はわざとらしく咳をした。
「あ、いや、その、想像以上の大きさと綺麗さ…。何よりこの高級感におされて…。」
「…はいはい。その気持ちは十分にわかります。」
まだ外見しか見てないのにな…。
そしてマンションの入り口で雛多の部屋のインターホンをならす。
「はい。」
「あ、オレオレ。」
「ん?オレオレ詐欺か?」
「インターホンでか?」
「世の中何が起こるかわからないからな。」
「お宅の親が窃盗事件を起こしたので五十万ほど必要です。」
少し悪ノリする俺。
「そのまま刑務所にでも入れといてくれ。」
冗談が過ぎる雛多。
「…薄情なやつ。」
「薄幸なやつには言われたくないね。」
ケラケラとインターホン越しで笑う雛多。
もし俺の人生が薄幸だと言うのなら原因の半分はお前かもしれん。
まぁ…これが運命ってやつなんだろうがね。
変なやりとりで少し手間取ったがマンションの自動ドアが開く。
そしてエレベーターの方に向かった。
このマンション一階一階が長いからエレベーターじゃないときついよな…っと、一人で別の事を考えていた。
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