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今、私はウェスティンホテルという都内の中でもかなり大きなホテルにいる。
プレゼンの会場はこのホテル内。大勢の人間、マスコミ関係者が多く集まり、更にテレビ中継まで行われている。
――ご清聴ありがとうございました。
さっきの自分の言葉が頭に蘇る。無事、終わったのね。
上手く出来たかは解らない。その結果については――大丈夫だと思う。多分。
悪魔にドキドキさせられることを思えば、壇上は全然その比では無かった。真吾君のお陰で緊張類の免疫が出来過ぎたんじゃないかと思う。
そうそう。プレゼンの様子が詳しく見たい人は、櫻井さんが活躍している『コロッケスマイル』で、私の頑張るプレゼン場面を探してみてね!
でも今、やり遂げたという充実感と高揚感で控室に戻っていたけど、少し風に当たりたくて廊下に出たら、偶然三輪さんに会った。会うのは久しぶりだった。
「お疲れ様、和歌ちゃん。流石だね」
「あ、三輪さん! お久しぶりです!!」
今日はグレーのスーツ姿。隙の無いきちんとした身のこなし。相変わらず素敵だわ。
でも、もう前の様に異性として意識してドキドキしない。やっぱり、ちゃんと諦められてる。良かった。
「今日はよく頑張ってくれたね。これ、お祝い代わりに、少しだけど」
「ありがとうございます」
少しだけどと謙遜した言葉とは裏腹に、豪華な花束を三輪さんから受け取った。
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