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「あ、またアイツ手ぇ振ってるよ。真吾君」
屈託の無い笑顔を見せながら、今アヤネが言った真吾君――上山真吾(かみやましんご)が私に向かって手を振っているのが、カフェの窓越しに見えた。
彼は、私が面倒を見ている部下の一人。
最近妙に懐かれちゃって、ことある毎にデートに誘われたりされるのだ。
「よっぽどアンタの事好きなのね~ぇ」真吾君と私を見比べて、ニヤリと笑いながら、アヤネが呟いた。
「そっ、そんな訳ないよ!」
「おーおー照れちゃって。まぁ~、そんな風に言わずに付き合ってあげれば? どうせアンタ、フリーだし」
「ちょっと、アヤネ!!」
アヤネに向かって叫んだトコだった。噂の主、真吾君がいつの間にか店に入ってきたらしく、私達の目の前に現れた。
黒の短い髪をツンツンに上げて、イマドキの若者風ヘアスタイル。
ふちの厚い眼鏡もお洒落で、笑顔の可愛い、二つ年下の男の子。
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