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「あのっ! 和歌子さん、今日仕事終った後、ヒマですか? もしヒマがあったら、俺と映画でも行きませんか?」
スーツのポケットから映画の招待券を取り出して、真吾君が笑顔を見せた。「前、和歌子さんこの映画見たいって言ってたでしょう? 知り合いにチケット貰ったんで、お時間あったら一緒に・・・・」
「ごめんなさい」私は頭を下げた。「先約、あるの」
「ふーん、そっか。残念! じゃ、明日はどうですか?」
私は答えられなかった。
明日も、明後日も、今週は三輪さんとの約束があったから。
「ははっ、ゴメンなさい。急に迷惑でしたよね。じゃあまた時間のある時に、アヤネさんとでも見に行ってください。俺は使わないので」
拒否する事も出来ずに、結局映画の券を受け取った。
幾らバカな私でも解る。・・・・真吾君は、私を誘う為にわざわざこのチケットを用意してくれたんだ。
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