Last office・私の花道

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  「あ、やめて下さい。もう謝らないで」 「でもね、謝りついでにもうひとつ。和歌ちゃん、上山との交際は上手く行ってるの?」 「あ、ああ、ええまあ、お陰様で・・・・おほほ・・・・」 「上山には非常に申し訳ないんだけど」三輪さんが大勢を整え、私に真剣に向き直った。「和歌ちゃん。櫻井君のプロジェクトの延長で、君にアメリカへ渡って欲しいんだ、僕は今後、ヒロイで作った薬を世界中に届けたい。君や櫻井君の熱心な仕事ぶりを見て、僕も頑張ろうって思ったんだ。和歌ちゃんには、新しく立ち上げるヒロイのアメリカ支社での、主任ポストに就いてもらいたい」 「ええっ!? 私がですかっ!?」 「上山にも相談して、早急に返事をくれないか。プレゼンが無事に終わったら伝えるつもりで待っていたんだ。この会場に上山も来ているだろう? 僕が言っていた事を伝えて、明日返事が欲しい。引き受けてくれることを願っているよ」 「そんな・・・・急に言われても・・・・」 「自由でエネルギー溢れる君なら、アメリカでの仕事もきっと上手く行くと思う。それに、チャレンジしてみたいって思うだろう。久遠寺和歌子は、そういう女だと僕は思っているんだけど、違ったかな」  ドキリとした。アメリカは遠い。日本ならまだしも・・・・。でも、チャレンジしてみたいと、聞いてすぐに思った。  どうしよう。  真吾君は、絶対にイヤがるよね。
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