Last office・私の花道

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  「和歌ちゃん。上山とよく話し合って。明日の返事が無理だったら、もう一日だけ待つから。年始になったら、僕も準備でアメリカへ行く。他の何人かにも声を掛けている所だ」 「あ、他の何人かって、だったら真吾君も一緒に行くことは出来ないんですか!? 私の部下だし、補佐も任せられるし、せめて彼と一緒なら・・・・」  そういった所で三輪さんが怪訝そうな顔をし、何かを逡巡する素振りを見せた。 「そうか。・・・・和歌ちゃんは、上山がヒロイに出向で来ている事は知らないんだな。まあ僕がここで黙っていても、いずれ解る事だ。言ってもいいと判断して言うよ。上山は『上山美容整形外科』からヒロイに出向して来ているんだ。彼は上山美容整形外科の院長ご子息だよ。だからヒロイから、アメリカの子会社に行かせることは出来ない」  上山・・・・美容整形外科?  何か、頭パンクする話が次から次へと・・・・。 「一般社員なら、上山の素性を知らないのは当然だけど、君は違う。和歌ちゃんもちゃんと彼の素性を知った上で、今後もつき合った方がいい。結婚を考えているなら、上山はなかなかやっかいな男だと思う。余計なお節介かもしれないけど、そこも含めてよく二人で話し合って。それじゃあ、僕はもう行くよ。返事、期待しているから」 「は・・・・はい・・・・・・・・」  受け取った花束を握りしめ、私は三輪さんの後姿を見送った。
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