Last office・私の花道

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  「だって俺、妾の子ですから」真吾君はニコニコ笑っている。「そんなのに家は継がせませんよ。別に継ぎたくもありませんし。前に、海外に行っている兄がいるって言ったでしょう? 例の真澄さんが奥さんですよ。兄は本妻の子で、血筋もちゃんとしてますから、あっちが家継ぎます。俺はテキトーでいいんで、ご安心を。父は世間体だけ気にしてますから、持て余した俺を縁のあるヒロイに出向させているだけなんですよ。兄夫婦だけは、俺の事可愛がってくれますけど、他がちょっとね。ま、それでもどうしてもって言うなら、家捨てて、家なき子になります。俺、小さい頃からドコ行っても邪魔者扱いで、可哀想なオトコなんです。和歌子さんにまで捨てられたら、生きて行けません」  わ。ちょっと可哀想。  だからエスパーなんかになっちゃったのね。  大人の顔色伺って、幼い頃からずっと生きて来たんだわ。  ・・・・でもなぁ。 「ちょっと可哀想って思うなら、拾ってやって下さいよ」 「読むなっ」  相変わらずのエスパーぶりだ。
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