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「そうなのか。それじゃあ久遠時君にしっかり指導してもらえ」
三輪さんは私に、よろしく頼む、と微笑を寄越し、その場を去っていった。
狼狽も、嫉妬の色も、何も見せずに。
・・・・そりゃ、そうよね。
限定デートだって、別に火遊びなんかのつもりでもないし、ましてや三輪さんが、私とどうこうなろって目的のお付き合いでも、何でもないんだし。
私一人で浮かれて・・・・なんか、バカみたい。
「離してよっ!!」
「ちょっと和歌子さん、待って。今はまずいですよ」
真吾君は私の目を軽く抑えて、給湯室の方へ連れて行ってくれた。
幸い誰も居なかった。
「ゴメン、和歌子さん。泣かせるつもりじゃなかった」
「泣いてないわよっ!!」
怒鳴った拍子に、目にいっぱい溜めていた涙が、ボロボロと零れ落ちた。
ヤダ。知らないうちに、涙出てたんだ。
恥ずかしい。
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