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そのときの事は、今でもうっすらと覚えている。
確かあれは、お母さんとお風呂に入った時だ。
まだ僕は3歳くらいだった。
お母さんは、浴槽に入って黙り込んでいた。
僕が体を洗い終え、浴槽の底の方をみると、そこには何か白い物体がふよふよとしながら沈んでいた。
「お母さん、何かいる。」
「え?」
僕が指をさした方向に、母が手を動かす。
…あ、触った。
そう思ったが、白い物体は動かない。
「何も無いわよ?」
お母さんがそう言ったので、僕は気にせずに浴槽に入った。
お母さんの方を向くと、なんと、その物体がちょうどお母さんの首辺りにふよふよとしながら居座っていたのだ。
お母さんの首に、腕を伸ばす。
しかし、掴めない。
そこで僕は、やっと気付いた。
これは、僕の目にくっついているのだ。
と。
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