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視界を、お母さんから離す。
…ほら、やっぱり付いてきた。
僕は勇気を出して、左目のゴミを取るかのように指を突っ込んでみたが、それは取れなかった。
お母さんに目を見てもらったが、何も付いていないのだと言った。
「何かの病気かもしれない!明日病院に行きましょう!」
焦ったようなお母さんの口調は、今だに忘れられない。
お風呂から出て、一人先に布団に潜り込む。
目を瞑っても、薄ぼんやりと浮かび上がる、白い物体。
「驚かせてごめんね。」
何処からか声が聞こえた。
目を開けて周りを見渡すが、誰もいない。
それが、この白い物体から発せられた声だと気付くのに、そう時間はかからなかった。
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