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御伽の国の眠り姫
放課後の学校、足早に教室を出て行く生徒達。
真直ぐ帰る者、部活動に励む者、それは綺麗に別れて。
窓から差し込む眩い橙に顔をしかめて、教科書を鞄に詰めた。
掃除当番の為に残っているクラスメイトに、軽く会釈。
また明日と言って教室を出た。
真直ぐな廊下、只ひたすらに走って。
曲がり角に隠れた階段、降りて靴箱を目指す。
鍵をかけていない靴箱を開けて、革靴を取り出し履き替えた。
駆け足で自転車置き場に向かう。
鍵を外して自転車に跨がり、こいで校門を抜ける。
そのまま全速力で駅まで自転車を走らせた。
早く、早くあそこに行かなければ。
終わってしまう。
彼女に会う事が出来なくなってしまう。
今日やっと書き終えたのに。
彼女の為の物語がーー
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