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「……どうなってんだ?」
目を覚ましても夜。
いや、真っ暗と言った方が正確だ。
視界は目を開けても黒、さらには身動きも取れない。
「……誰かそこにいないか?」
とりあえず叫んでみるが、俺の予想が当たっていれば期待はかなり薄い。
恐らく瑠那が復讐といった具合で起きてすぐに俺を掛布団に閉じ込めたのだろう。
「あ、やっぱり悠介?」
試しに声を出してみた甲斐があり、どうやら側に誰かがいるらしく、紐を切る音が聞こえてきた。
そして拘束する紐がなくなり、ようやく解放されて布団から這い出る。
目を焼くほどにまばゆい日差しに目を細めさせられながらも辺りを見回し、声の主を視認する。
「……あれ?奏……だよな?」
「え?そうだよ?おはよ悠介」
何故だろう。
顔も声も明らかに奏なのに、どうしても服装がナース服なのが解せない。
「痛っ……寝違えたっぽいな……首痛ぇ……」
まぁあんな布団に知らないうちにぶちこまれていれば寝違える可能性も低くはない。
「痛いの?それじゃ診察を始めまーす」
何をふざけてるのか、両手を俺の首筋に当てて触り始める。
手付きが昨晩の瑠那のような妖しい手付きで背筋が痺れる感覚に陥る。
とりあえず状況が掴めない。
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