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「それでは始めます」
一度深く深呼吸をする。
いつも通りの、狭い部屋に充満した、甘ったるいお香の匂いがする。
骨董屋で安く仕入れた水晶を、机の真ん中に置き、適当にブツブツとつぶやく。
この適当なつぶやきに、何の意味も無いが、客のウケがいいので続けている。
でも、今着ているフード付のローブといい、胡散臭いグッズに囲まれたこの部屋の雰囲気といい、かなり怪しい人に見えないのだろうか?
とか、くだらないことを考えた後、私は目を閉じ、意識を集中する。
「それでは、今からあなたの心を覗かせてもらいます」
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