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ィィィン
文字にするなら、こんな音だろうか、自分の意識が、目の前の少年の心の中に入るのがわかる。
エレベーターに乗った時の、浮遊感のような、なんとも表現しがたい不思議な感覚がする。
しばらくして目を開くと、そこは見慣れた占い部屋ではなく、曇り空の色をした広い部屋だった。
そう、これが私の生まれつき持っている能力。
人の心を一つの部屋にすることができる。
ここの部屋の風貌、物は全て、その人の性格や考えを表し、その人を形作っている。
「ここが、あの人の心か」
その部屋の壁や床には、細かいヒビが入っていてボロボロであり、小安の心の弱さ、脆さを物語っている。
ここの第一印象は、古ぼけた廃墟の一室。
と言ったところだ。
周りを見渡すと、床にはゲームやマンガ、雑誌などが無造作に散らばっており、本来十畳近くありそうな部屋が狭く感じる。
部屋の隅には勉強机があり、その上には少年が書いたと思われるマンガの絵がある。
その一つを取って、よく見ると、とても中学生と思えないくらい上手だが、不思議なことにその絵には人の瞳だけが描かれていない。
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