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どこまでも続く砂漠。
日の光にキラキラと輝く砂粒を踏みしめながら、ただひたすらに歩む男たちがいた。
馬に乗る、若い僧形の男…ほっそりしたその姿は、女性と見紛うばかりに美しい。
女優でいうならば、深津絵里…宮沢りえ…夏目雅子といった、いわゆる正統派美人女優であろう。
この美しい男こそ、大いなる夢を抱き、長安の都からはるか天竺を目指し歩む天才純情系僧侶・玄奘三蔵。
私だ。
そんな私、永遠の二十歳玄奘は、今日も愛馬白龍の上で、スキンケアをしていた。朝と夜の気温の差が激しい砂漠では、スキンケアがかかせない。
私のぷるぷる美肌はこのようなたゆまない努力で作られているのであった。
「お師匠様」
ふと、私を野太い声が呼び止めた。
振り向くと、孫悟空が私を見つめていた。
彼は、私の一番弟子である。
悟空は目を見開いて私を見つめていた。彼は猿のなかでは美形の部類に入るらしい。そう言われれば、美猿である。毛並みが美しいっちゃあ美しい。
「どうしたの、悟空…」
間近に見る彼に少しドキドキしながら私は尋ねた。
そういえば、ここ最近彼の私を見る目がいやらしい。
「……おっさん、急に顔パックすんなよ。妖怪がでたかと思うじゃねえか」
「おっさんって言うなあああああー!!!」
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