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ヒラリ
ヒラリヒラ
血の様に赤い桜の花びらが空を染める。
今は夏
桜の季節などとうに過ぎてしまった。
それでもこの桜は咲く。
いや、この桜に花が無い事などもう何百年と一度も無い。
真っ赤な桜この根に死体が埋まっているという。
桜はその血で己を赤く染め狂ったように咲き誇る。
人は皆その桜を狂い桜と呼び妖でさえも近寄らない。
ここは紫樹の国。
妖と人が共に住む世界。
そこにあって誰もが近寄ろうとしない、そこが狂い桜の森。
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