桜並樹の下で

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カチャン…… 「また宣伝……いい加減にしてよね」 朝 私の1日は新聞受けを調べる事から始める 今日は新聞に宣伝広告8枚 「住宅情報とかしがない高校生には必要ないっつ―の」 私は新聞を片手にテレビを付け、広告を机の上に置いた ピッ 『昨夜山で遭難した男女の捜索は未だに続いていて――……』 ブラウン管ごしに女子アナが無表情にニュースを読んでいく 「………ったく身内の身になれって…」 今頃親族は身を引き裂く想いなんだろうな、なんて考えた 私、菅野紗季には身内は居ない 数年前に両親と妹二人が借金苦に自殺をした。そんな私は唯一生き残った奴 背中には父親が私に向けて渾身の力で降り下ろした包丁の傷がある たまたま私は部活で帰りが遅くなって急いで帰った先には血まみれの母と妹に今にも死にそうな父親の姿があった 父は私に気付いて私を殺そうとした でも自分を刺した傷が思ったよりも早く自分の身体から致死量の血を流し、父は私に傷だけを残し死んだ 「私も連れてって欲しかったよ………」 そんな事言っても何にもならないのは分かってる 私は沈んだ心を無理矢理盛り上げ、今日から転校生する高校の準備に取りかかった *
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