優しさ

2/2
前へ
/54ページ
次へ
ぽつぽつと静かに降る、雨。 昔は大好きだったのに、今は、すごく淋しい。 無力な私の涙を、隠してくれる雨は、とても淋しい。 「――カガリ、風邪引くぞ」 「…大丈夫だ」 本当は大丈夫なんて思わないけど。 だって、雨は冷たくて、容赦なく私の躯を冷やす。 「私はいいから、お前は戻ってろ…アスラン」 「…そんな事出来るわけないだろう?」 「いいから!先に戻っていろ!!」 優しくされると本当に涙が止まらなくなるから。 これ以上、迷惑をかけたくないから。 「カガリが…カガリが雨を浴びていたいなら、俺も一緒にいるよ」 「な…何言って…」 「気がすむまで浴びればいいさ。…ずっとそばにいるから、泣きたいなら、泣けよ」 「…っ、でも…!」 「大丈夫だ。…雨で、涙なんてわからないよ」 あぁ、お前は本当に馬鹿だな。アスラン。 でも 「…ありがとう…」 雨を一緒に浴びてくれる、そんなお前の馬鹿な優しさが 一番好き。 -fin-
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加