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ぽつぽつと静かに降る、雨。
昔は大好きだったのに、今は、すごく淋しい。
無力な私の涙を、隠してくれる雨は、とても淋しい。
「――カガリ、風邪引くぞ」
「…大丈夫だ」
本当は大丈夫なんて思わないけど。
だって、雨は冷たくて、容赦なく私の躯を冷やす。
「私はいいから、お前は戻ってろ…アスラン」
「…そんな事出来るわけないだろう?」
「いいから!先に戻っていろ!!」
優しくされると本当に涙が止まらなくなるから。
これ以上、迷惑をかけたくないから。
「カガリが…カガリが雨を浴びていたいなら、俺も一緒にいるよ」
「な…何言って…」
「気がすむまで浴びればいいさ。…ずっとそばにいるから、泣きたいなら、泣けよ」
「…っ、でも…!」
「大丈夫だ。…雨で、涙なんてわからないよ」
あぁ、お前は本当に馬鹿だな。アスラン。
でも
「…ありがとう…」
雨を一緒に浴びてくれる、そんなお前の馬鹿な優しさが
一番好き。
-fin-
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