lumpen affection

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『何よ、もう。王様に怒られたくらいで泣いちゃって』 『だって父上は恐いんだ。怒鳴ると大地がゆれ動く』 『いいわ、泣き止むまで傍にいてあげる』 『ほんとうに?』 『ええ。だから早く泣き止んで。一緒に遊びに行きましょう』 『うん…!』 ――――――――― 「一国の王が、あのような娘をご所望か」 「気をくるわせたか国王よ」 「たかが踊り子に何故あそこまで執着を」 「ただの妾だ。気に病むことはない」 『王、お呼びでしょうか』 『ああ。顔を上げてくれ』 『……ご用件は』 『そなたを側室へ』 『…な!それは…』 『断るか?我が望み』 『……いいえ。我らが王、貴方様のおおせのままに』 ―王子覚えておくように。王は一人の者を愛してはならぬ。それは民の心をかきみだし、国を滅びに導くだろう― ―分かりました父上。私は皆を愛する王へ― 『……っ』 『王?』 『…すまない。突然の申し出』 『そんなこと…』 『本当に、許してほしい』 『………皆に愛される我らが王』 『?』 『私が皆の代表として、貴方様が泣き止むしばしの間、傍らに』 『…うん』 愛している。愛している。 君を特別にすることはできないけれど。 どうか笑えるように。 .
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