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「何なんだよ!?」
必死に避けるヴィータ。だが
「どりゃあぁぁぁぁ!」
とうとう食らい吹き飛び、ビルに激突する。
「がはっ……」
壁に背中を強打し、息が詰まる。そしてビルの窓越しに空中に立つのはエレメンタルブレードを右手に引っ提げたゴールド。
「……この程度か。だったらこれで終わりにしよう」
そういってゴールドは愛剣を前に出す。
「カートリッジロード」
《Load Cartridge》
エレメンタルブレードの鍔の上に突き出た台形の形をした部分がスライドして空薬莢を排出する。
「エレメンタルブレード、モード移行。属性……炎」
《All right,Elemental Mode. Burning》
刹那、エレメンタルブレードに炎が纏われる。それを振り上げ、
「エンデヴァー」
《Endeavor》
ゴールドが消え、風を切る音がヴィータの耳に届く。
(くそっ、こんなんで終わりかよ……。すまねぇ、みんな。はやて……)
もはやこれまでと目を瞑ったヴィータの耳に聞き慣れた声が聞こえた。
「レヴァンティン!カートリッジロード!」
《Explosion!》
「紫電一閃!」
高らかに放たれた言葉と同時に金属同士がぶつかり合う音。
「なっ!お前は一体!?」
「シグナム!」
やっと来てくれたシグナムを見るヴィータ。
いったん離れて近くのビルの屋上に降り立つゴールド。その顔には焦りが浮かんでいる。
(俺のエンデヴァーを捌きやがった……!こいつはまずい展開か?)
ゴールドは自身の炎資質の中で爆発的な加速とそれを利用した強烈な斬撃を誇っていた魔法をいとも簡単に捌かれたということに驚いていた。
ゴールドのその一瞬の驚きが隙を生んだ。
《Explosion》
上空から聞こえる音声とカートリッジロードの音が聞こえ、再び炎の斬撃が降り掛かる。
「しまっ……!」
気がついたときにはシグナムはもう目の前まで迫って来ていて、最早剣を振り上げる時間など無かった。
(しくじった……っ!)
《Protecion high powered》
反応が遅れたゴールドをフォローする為にエレメンタルブレードが強化障壁を張ったのと、
「ハァッ!」
「むっ」
黄色い閃光が舞い降りたのはほぼ同時だった。
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