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「魔力チャージ開始」
《Charge magic!……ちゃんと非殺傷設定になってるかな。うん、なってる》
「我が目の前に立ちはだかる障壁を呪い壊せ!ブラッディ……」
ゴールドの目の前に展開する巨大な魔法陣。そして、集まる紅き魔力。それはスターライトブレイカーの何倍とも言える魔量。放たれれば確実に結界がはじけ飛ぶ。そう感じたシグナムはフェイトを思いっきりぶっ飛ばし、ゴールドに肉薄する。
「紫電一閃!」
ゴールドは魔力をそのままにして横に避ける。そしてそれに連続で切り掛かるシグナム。つまりは撃たせないということ。
(詠唱してる時間がない!どうする?)
そう考えたとき、彼の頭に父の姿と声が再生される。
「そうだ!この手がある!ダウンロード発動!」
「そんなことをしても貴様に詠唱の時間は与えないぞ!」
それは何回か前の模擬戦のときだ。
回想
「父さんはな、このまえある異世界に行ったんだ。そこで一人の魔法使いの少女に出会ったんだ」
そう言って父さんは数枚のカードを取り出す。
「その子の魔法が強くてね。父さん手こずっちゃってさ。なんとか勝った後にお互いの世界の話をして、帰り際にお互いの最強と言える魔法を交換したんだ。それがこれだよ」
父さんはそのうちの1枚を投げる。カードは空中で停止した。何だろうと思っていると父さんが小さな声で何かつぶやいた。そのとたん目の前が真っ白になった。僕(このときはまだ僕って言ってたな……)は白い光の奔流に飲み込まれていた。その威力は信じられないほど強く、父さんの必殺技並みに強いことを知った。僕はなんとか耐えたが体中が悲鳴を上げている。
「これが父さんが戦った子が使った魔法。その魔法の名前は……」
回想終了のお知らせ
少年はイメージする。そのとき父が使ったカードの姿を。剣先に光が集まりそのカードが姿を現す。
「無駄だと言っている!」
叫びながらシグナムが上から切り掛かってくる。ラッキーとはこういうときに言うんだな、と思いながらその言葉を唱える。父と戦った少女の代名詞とも言えるの魔砲の名を。
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