跳躍はすべての始まり

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ここは第29管理世界「マルトソーク」。とりあえず魔法は普通に存在し、5人に1人は魔法を使うことができる。 そして、ここは首都郊外にある、とある邸宅。広さは高町家と同じぐらいの広さで違う所と言えば道場がないこと。 その庭に一人の少年が剣を持って木製の人形を的に練習をしていた。 「ていゃぁぁぁぁ」 かけ声もろともに繰り出す斬撃はきれいに木製の人形を切った。 「ふぅ。とりあえず朝はこれでおしまいにしよっか」 辺りを見ればさっきと同じ人形が辺りに散乱していた。 《朝食を食べた後はシルバーとの模擬戦ですよ》 機械的な音声がさっきの少年の独り言に反応した。 「逃げていいかな?エレメンタルブレード」 《だめですマスター》 エレメンタルブレードと呼ばれた剣が何やら震えている主に厳しい一言を放った。 「むー……」 ぶつぶつ文句をいいながらも少年は空いた腹を満たす為に母屋に入っていった。 少年の名前はゴールド・カース 9歳。持っていた剣は一見アームドデバイスなインテリジェントデバイスでエレメンタルブレードという。 家族は父親のみ。要するに父子家庭。 父親のシルバーは時空管理局の戦技教導官をやっていてかなり強い。そして自分の息子も管理局に入れるんだと管理局に入れられ、休みごとに課している日課に加えて模擬戦をしてやる…のだけどもゴールドにしてはたまったものではなかった。 なんせ強すぎるのだ。勝てる訳がない。日課の成果云々以前の問題だとゴールドは思っている。 その他ゴールドは父のようにほかの世界へ行ってみたいとも思っていた。いつも父ばかりが異世界へ出かけるのがかなり面白くなかった。 そこで、だ。 「エレメンタルブレード。やっぱ逃げるわ」 《なっ!》 宣言したと同時に足下に広がる魔法陣。枠はミッド式だが真ん中は四角などの代わりに三角形が2つ互いに反対側に回っている。これこそがゴールドの祖先が編み出した魔法術式。そしてゴールドは唱える。異世界へ飛び立つ呪文をーーー。 「我は次元を旅するものなり。今このとき新たなる世界へ旅立たん。我が契約のもと扉を開け。超次元跳躍ディメンジョンジャンプ、発動」 《ちょ!?マスター!シルバーに殺されますよ!?》 エレメンタルブレードの悲痛な声が聞こえた気がしたがそのときには既に『ジャンプ』していた。自分の知らない異世界に……。
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