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ゴールドが消えた後、一人の男が庭に出てきた。
「やっぱり血は争えないね~。まぁ、かぁいい子には旅をさせろって言うし、ゆっくりいっといで」
男ーーシルバーは庭を眺めながら呟いた。
第97管理外世界(現地惑星名『地球』)極東地区 日本 海鳴市 桜台 AM6:30
ゴールドは桜台付近の森の中に魔法陣とともに現れた。
ここ海鳴市は『P.T事件』の舞台となったことはシルバーから聞いていたゴールドだったので、もしかしたら民間魔導師やらに出会うことができるかも知れないと思い少し付近を散歩してみた。
暫く歩いたときだろうか、やっと森のはずれまで来たゴールドに耳にこんな声が……。
「それじゃ、きょうの練習の仕上げ、シュートコントロールやってみるね」
《わかりました》
おっ、これはもしかするともしかして来たか?と思って陰にこっそり隠れて様子を見る。空き缶入れから少し離れた所に同い年ほどの少女ーー高町なのはが片手に缶を持ってたっていた。
「リリカル、マジカル」
なのはの足下に魔法陣が展開される。自分もよく見かけるミッド式の術式。
「福音たる輝き、この手に来れ。導きのもと、鳴り響け!」
なのはの手のひらの中に桃色の魔力が集まる。そしてなのはは缶を空高く放り投げ、
「ディバインシューター……シューーート!」
手の先から放たれた魔力スフィアは連続で缶に当っていく。
《18、19、20、21》
ゴールドが近くを見ると近くのベンチの上になのはのものらしきデバイスが置かれているのを見つけた。その間にも、
「アクセル!」
同時にスフィアのスピードが上昇、さっきより速く連打していく。
《……マスター、偽装魔法は使わなくていいんですか》
エレメンタルブレードに言われてゴールドはあわてて呪文を唱える。
「我が身を偽り、守れ、偽装魔法インパーソネッション発動」
《Impersonation》
魔法陣は展開せずただ光だけが身を包み、消えた。
「あぶねー」
迂闊だった。魔力を感じられたら不審に思われるだろう。ほっ、と胸を撫で下ろしなのはを見る。
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