タイ焼きと結界

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PM7:45 海鳴市 市街地 市街地の上空には今朝方魔導師をたたいた少女と狼が浮かんでいた。右手にはハンマー、左手には第一級捜索指定ロストロギアーー闇の書を抱えて。 「どうだヴィータ。見つかりそうか?」 「……いるような、いないような。こないだから時々出てくる妙に巨大な魔力反応や昨日一瞬だけ感じた馬鹿でかい魔力反応。あいつらが捕まれば50ページは軽くいくんだけどな」 「分かれて探そう。闇の書は預ける」 狼ーーザフィーラは後ろに向きながら言った。 「おっけー、ザフィーラ。あんたもしっかり探してよ」 「心得ている」 そういってザフィーラは飛び去った。ヴィータはそれを見届けた後、ハンマーを前に突き出す。同時にヴィータの足下に三角形で頂点には円形が描か れている魔法陣ーーベルカ式が展開した。 「封鎖領域、展開」 その言葉とともにハンマーが光を放った。 《Gefangnis der Magie》 ヴィータはハンマー―――グラーフアイゼンを振りかぶり、思いっきり振った。するとヴィータを中心に封鎖領域が広がっていく。結界の中に入った 人や物は結界から閉め出され消えていく。 同時刻 桜台 公園 ゴールドは跳躍する前に盗って来たシルバーのへそくり(とりあえず持って来たら日本円だった)で買ったタイ焼きを食べていた。 「いやー、タイ焼きってうまいなー」 《まったく、勝手にシルバーのへそくりを盗むとは良い度胸してますね》 エレメンタルブレードの冷やかしなぞどこ吹く風と言った調子でタイ焼きを貪り続けようとしたときだった。 《マスター、魔力反応確認。おそらく結界の類が張られています。……マスター!!!》 「ん?結界?全く人が食い切るまで待てないのか相手は」 もぐもぐとしながらあきれたように言うゴールド。 《戦いは待ってはくれません。というよりさっさと食べて下さい》 そしてやっと食い終わったゴールドは結界目指して走っていった。
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