未来への一歩

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「さてと…」 おおかた引越しの荷物が片付いた小さな部屋で、綾は呟いた。 両親は、田舎に戻ってきたら?としきりに進めたが このご時世、あんな田舎町に、仕事があるなんて思えない。 とは言っても、25歳で結婚してから ぬくぬくと専業主婦をしてきた自分に、何か出来る仕事があるんだろうか。 もともと彼の借金で、ほんの少ししか貰えなかった慰謝料は、新しい部屋の契約と、引越しで、ますます少なくなってしまった。 「早く仕事探さなきゃ…」 綾は、独り言のように呟いて 別れた彼との写真が詰まった、今だ開けられない段ボールを、そのままクローゼットの中に押し込めた。
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