お困りヴァルツ

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「…ヴァルツさん、この状況を説明して頂きたいのだが」 私が説明を頼んだ人物は溜め息をつきながら答えた。 「…そいつらは野犬だが、攻撃はしてこない。だから警戒を解け。  森を散策していたら、さっきコイツらが来てな。あまりに人懐っこいもんだから、ポケットに入れてた食料を分けてやったんだ。  そうしたら、この有り様だ」 なるほど。 一時の気の迷いが産み出した産物ですね、わかります。 「それで、どうしたものかと困ってるんだ」 「へぇ…」 私は野犬たちをまじまじと観察してみた。 野犬たちは、目を輝かせ、尻尾を振りながら此方を見ている。  
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