お困りヴァルツ

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  私たちは満足して帰っていく野犬たちの背中が見えなくなるまで見送った。 「久しぶりにたくさん運動した」 「私はいつも肉体労働してるから慣れてるよ。…楽しかったね」 「あぁ。たまにはこういうのも悪くない」 「素直じゃないねぇ。『良かった』って正直に言えば可愛げがあるのに」 「生憎、可愛さは求めてなくてな」 「さいですか」 「…ありがとな」 ヴァルツはフッと笑った。 私は笑顔で、どういたしまして、と返した。  
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