6人が本棚に入れています
本棚に追加
――それは本当にたわいなく、他人から見ればただの「不幸」・日常の中の「事件」という言葉で片付けられてしまう、まるでテレビの中の出来事だった。
「ほら、早く乗りなさい」
父の帰りが遅くなったある日、俺は母に連れられて車で駅前まで一緒に迎えに行くことになった。
「雨降ってきたな……」
「傘持ってこなかったけど大丈夫かな?」
「今日は帰る前にレストランに寄るから、家に着くまでには止むでしょ」
「レストラン?」
「ちょっともう、自分の誕生日くらい覚えときなさいよ」
母は微笑んでそう言うと、交差点を一つ曲がった。
最初のコメントを投稿しよう!