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「こんな時間からおサボりか」
茂みから出てきた警官はうんざりとした様子で裕二が逃げた方を一瞥すると、俺に向かって逃げなかっただけ褒めてやると無表情に言った。
その後彼は俺を自分の前に置いて、後ろから突っつくようにしながら交番まで誘導した。
「で、お前さんは何であんな所に居たのか覚えてないと?」
壁に掛かった時計はとっくに正午を過ぎていたが、日差しはこれからの季節を待ち侘びているのかと思うぐらい刻々と白んでゆく。
「まぁいい。親には連絡を入れたからもうすぐ迎えに来てくれる筈だ」
「お前さん、捜索願い出されてたんだってな、あんまり親御さん泣かすんじゃないぞ」
何も言わない俺に警官は一方的に話を付けると、母が迎えに来るまでの間、自分の息子の話を俺に聞かせて説教をした。
しかし終始穏やかな表情で、最初に会ったときの顔とは180度印象が違っていた。
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