男心と秋の空

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私はイチに連絡して、お願いがあると言った 子供出来たから堕胎するのに付き添ってほしいと 彼は少し戸惑っていたが、応じてくれた お互い時間をあけて、産婦人科に行った。医師には30過ぎての堕胎は身体に負担かかるし、欲しくなった時にできにくくなりますよと言われた でも仕方ない…今はそんな事言ってられなかった 堕胎の手術は簡単だった私は麻酔で2時間くらい眠っていた 気がつくとベットの横にイチがいた 『ごめんね…もう仕事行ってね。私一人で帰れるからさ』 『俺、今日有給休暇もらってるんだ。家まで送っていくから。』 ふらつく私をタクシーに乗せてイチは優しく肩を抱いてくれた マンションにもどり私はベットに横になった 『好きな人の子供だったの?』 『どうなのかな…身体だけの関係。スランプになると私のところにきてね(笑)しばらく会ってなかったんだけど、妊娠してたのわかってから相談しようと思ってた…』 『結婚するつもりで?』 『ううん、堕胎か、私一人で育てるかよ。でもね…相談するまえに彼結婚しちゃったの…だから堕胎とったのよ(笑)仕方ないわ』 『市駒ちゃん…間違ってるよ…都合のいいように扱われてるだけじゃないか!』 『そうかもしれない…でも彼のためにも、私のためにも今回の選択はよかったと思うわ』 『そんなのどうしてわかるんだよ!話してたら結婚してたかもしれないじゃないか』 『結婚はないわね…私とは住む世界が違う人だから。この前若い子と結婚したばかりよ。私のほうが長い付き合いとは言え、人の結婚生活壊したくないわ』 イチは私の顔を悔しそうに見ていた
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