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私は少し酔っ払っていた
マンションについてエレベーターにのるときも足がふらついていた
部屋の前に誰かいる
『誰ですか』と私は顔を覗きこんだ…ヒジリ
『何してんのよ』
『お前待ってた…』
肩まで伸びた髪をしばって、ヒゲだらけの顔。少し痩せてた
私は部屋にあげると温かいコーヒーをだした
『ノンタン元気?』
『うん…元気』
『私に用事だった?』
『子供ごめん…』ヒジリはぽろぽろ涙を流した
『私が悪いのよ…今頃後悔してるんだ。シングルマザーでもいいから生めば良かったって…』
『あんな馬鹿な事したから俺に言えなかったんだろ?新人女優、映画、俺自身の名声のために簡単に嘘の結婚発表して…籍も入れてないし、住んでもいないさ(笑)』
『もう終わった事じゃない。来年、離婚会見終わったら演技の事だけ考えてよ、ね?』
ヒジリはコーヒーをすすった
『来年、主役じゃねーけど凄い役もらったんだ…身震いするくらいの役さ』
『頑張らなきゃ…私も仕事に打ち込むからさ(笑)』
『俺の事嫌いか?』
『愛してるわよ(笑)』
『俺んちくる?』
『行かない…』
『でも多分ずっと愛してるよ、おばあちゃんになってもね』
『それ聞いて安心した(笑)』
ヒジリはコーヒーを飲み終えると部屋を出て行った
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