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「おい、しっかり聞け!腕をもぎ取るぞ?」
正座する俺と朝原を、仁王立ちで見下ろしながら担任であるゲンドーが言った。
結局、朝の件についてHRの後職員室に連行されたわけだが、この担任マジでゲンドーって名前だったらしく、名前を聞いた瞬間盛大に吹き出した俺と朝原は職員室の床に正座させられてるという事です。
「…ったく、新学期早々大問題になるとこだったんだぞ」
額に手を当て、溜め息をつきながらゲンドーが言った。
「…大問題ってなんすか?」
それを見て朝原が口を開いたが、ゲンドーは黙ったまま職員室の奥の方に座っている、いわゆる教頭らしき人とアイコンタクトをとっていた。
そしてお互いに頷きあうと、俺達の方へ視線を移して小さな声で話しだした。
「仕方ない、いずれバレる事だからお前達にも言っておく。朝お前達が声を掛けた生徒…彼女は平田財閥の一人娘だ」
平田財閥…って確か朝2ちゃんで見たぞ。
ほんとにこの学校に入学してたのか!?
すると朝原が嬉々としてこう言った。
「了解です先生!つまり逆玉の輿ですね!うはwwwまかせんしゃいwwww」
…ダメだコイツ。
あ、ゲンドーの額に青筋が。
そして次の瞬間、職員室が沈黙に包まれる事になる。
「違う!!」
まるでメガホンでも使ったかのようなバカでかい怒声。
誰もが何事かと振り返り、皆が動きを止める職員室。
ひっくり返る俺と朝原。
そのなかでただ一人ゲンドーだけが声を発していた。
「いいか貴様ら!俺が言ってるのは彼女とは関わるなという事だ!これはお前達だけに言うわけじゃない、全校生徒に共通する事だ。大々的には取り上げないが、彼女とは必要最低限の接触以外を禁止する!」
それだけ言ってゲンドーは俺達に「もう帰れ」と言って職員室の奥に行ってしまった。
必要最低限の接触か…でも、そんなのちょっとヒドくないか?
そりゃあ学校側としてもいろいろ事情があるのはわかる。平田財閥って言えば俺でも知ってる位の大財閥だ。
こんな学校、その気になれば1日で潰す事だって出来るだろう。
だからって、あの娘を孤立させていい訳じゃない筈だ。
でも、そんな事言ったって聞く耳持たずなんだろうな…。
渋々俺達は職員室を後にする事に。
しかし…
「あ、平田…さん」
職員室の前に、目に涙を浮かべた彼女がいた。
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