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あー、マズいっすね。
この様子じゃあまる聞こえだったんじゃないすか?
その時朝原が俺より一歩前に出て、ポケットからハンカチを取り出すと彼女に差し出しながらこう言った。
「お嬢さん、アナタの瞳に涙は似合いません。これをどうぞ」
……きめぇ。
しかし、朝原は俺の方へ顔を向け、いやらしい笑みを浮かべてきた。
あの顔はッ!!
俺は知っている…朝原があの笑みを浮かべる時は大抵女性に取り繕うとする時だ。
まさかアイツ、ほんとに逆玉の輿を!?
無茶だ…!
ていうかそれ以前に彼女があからさまに引いてるのがわかる。
やめとけ。彼女には俺ら一般市民なんか便所の落書き程度のどうでもいい存在なんだ。
しかし、そんな事全くお構いなしの朝原が、ついに奇行に出てしまった。
「さぁお嬢さん、私と共にイキましょう!!」
なっ!?
このバカ…。
「な…な…」
ヤバい、平田さんがフリーズしてる!早く助け――
「死ねぇぇぇ!!」
「シンゴーシンゴーシブッ!!?」
…え?
朝原が吹っ飛んで…落ちた。窓から。
なんという蹴り!というか人の限界値を完全に越えてるような…。
そうか、やはり彼女は…。
「ふぅ、やっと邪魔者が居なくなった」
「平田さん、あなたこそリアルフレイムヘイズだったのですね。以後、あなたの事はシャナと呼ばせていただきます」
「はあ?」
「ふふ、隠そうったってそうはいきません。安心してください、誰にも言いません」
俺は平田さん、もといシャナの手を取り言ってやった。
が、俺の手を振りほどきその勢いで拳骨を俺に喰らわせてこう言ってきた。
「調子にのるな!私はただ通りかかっただけ!別にお前達がどうなったかとか、きにしてないんだから…後、なによシャナって、さすがにそれは捕まるわよ?もうちょっとアレンジしなさい!」
とまあ、聞いてもいないのにわざわざここにいた経緯を教えてくれたり、名前のアレンジを要求してきたりと、なかなかの変わり者っぷりを披露してくれた。
リアルにこんなのに会ったの始めてだ。wktkが止まらないな。
「よし、じゃあとりあえずシャナ娘って事でどうすか?」
「…あんまり変わってないけど…まあいいわ」
おお、ダメもとで言ってみたら了承してくれた。
これは…キテるな。
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