239人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あ、や、え?は、はい…」
………。
勢いで言ったものの、これはどうすればいいんだ?
「う、内村…?」
オーケーオーケー。落ち着け俺。
何もそんなに深く考える事は無い。愛の告白をしたわけじゃあるまいし、単なる友達のお誘いだ。
自然な流れでいこう。
「いやー、いきなり悪かったな。驚いたろ?」
「え?うん、まあ…」
緊張した様子で応えるシャナ娘。
かくいう俺も多少緊張してはいるのだが、それでも頑張るのが漢だろう。
「ねえ内村」
俺が自分に言い聞かせていると、シャナ娘が首を傾げながら聞いてきた。
「どうした?」
「友達って何するの?」
「……遊ぶ?」
「何して?」
「……いろいろ?」
「例えば?」
「例えば…例えば…」
不味いな。良い例えが思い浮かばん。
仮にもシャナ娘は女の子だしな…春休み中朝原とやって来た数々の変態的活動を友達のやることとして教えるのは問題がある気がする。
おっと、別に変態的活動といっても覗きとかであってBL的な事では決してない。
そしてその覗きもどっか知らない家のお嬢さんとかでは無いのであしからず。
犠牲になったのは主にお隣さんです。そのたびに俺の部屋に俺と朝原の鮮血が飛び散ったのは言うまでもない。
「ねえ内村?生きてる?」
おっと、どうやらシャナ娘さんを待たせすぎたようだ。
声のトーンが上がってやがるぜぃ。
「生きてますぜシャナ娘さん。それと…そうだな、とにかく友達ってのはいろいろあるんだ。言葉で言ったって仕方ないからな、先ずは経験だよ」
「経験…そんなものなの?」
「そんなものだ」
うんうん、人付き合いってのは難しいからな。実戦で学ぶのが一番だ。
するとシャナ娘は何か悟ったかのような笑顔になってこんな事を口走りやがった。
「そっか、じゃあウチくる?」
「いくいく!……は!?」
え?今ノリで答えちゃったけど、なんて?
ウチって、シャナ娘の家だよな?
ちょっと奥さん、いきなり男を連れ込むなんて正気ですか?
「よし、ほら早く来なさい!」
「あ、ちょっと…」
呼び止めようとしたが遅かった。
シャナ娘は駆け足で昇降口へと続く階段を降りていった。
最初のコメントを投稿しよう!