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「おーい、シャナ娘ーって、うおぅ!?」
シャナ娘を追って校門のところまでやって来ると、そこに待っていたのは別世界だった。
おおよそドラマや漫画でしか見たことがない、バ金持ちが乗ってるような胴長の車。
その傍らでシャナ娘と、少し年配の渋い感じの男の人が話をしていた。
「あ、内村遅い!ほら、早く乗って!」
シャナ娘がそう言うと例の男性が車のドアを開けた。
そしてシャナ娘が乗り込んだのを確認すると、今度は俺に乗るよう促してきた。
「どうぞ、内村様…でよろしいですかな?」
「あ、はい、お、お邪魔します…」
おずおずと車に乗り込むと、男性はドアを閉め、そして自らも運転席へと乗り込み、俺に向かってこう言った。
「私、平田家で執事をさせていただいている松本と申します。以後、お見知り置きを」
「はいっ!内村陽介です!以後お見知り置きを…って何言ってんだ俺?」
つい雰囲気につられて言っちまった…。
「ぷっ、内村緊張しすぎ」
「なんだと!お前だってさっきは緊張でガチガチだったじゃねぇか!」
「なっ、べ、別に緊張なんかしてないわよ!あれは内村が突然へんな事言うから…内村のバーカ!!」
こ、こいつ散々言いたいこと言って耳栓しやがった。
なんてヤローだ。勝ち誇った目で見て来やがる。こうなったらこいつの部屋の写真を全校に振りまいてやる!
フヒヒww正義は勝つのだよ!
そしてなんだかんだで車はシャナ娘の家に到着した。といっても門をくぐってから数十分は走っていたが…。
「やっと着いたわね~」
松本さんにドアをあけてもらいご機嫌で車を降りるシャナ娘。
それに続いて俺も降りるのだが…。
「…………」
ダメです!内村、完全に沈黙!
精神的にかなりのショックを受けたもよう!
「ちょっと、何突っ立ってんのよ?」
俺の起動不能に気づいてシャナ娘が寄ってくる。
ここでなんとか俺は口を開くことに成功する。
「なんだこれ…?」
情けないことに、唯一出た言葉がこれだった。
「はぁ?お前、それかなり失礼よ?私の家に決まってるじゃない」
ああ、やっぱりッスか。
上半身裸の露出ネズミのいるテーマパークのでっかい城かと思った…。
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