バカと金持ちとラノベ

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はてさてどうしたものか…。 入学式が行われている体育館に入ったはいいが、どこに行けばいいのかさっぱりわからん。 新入生用のパイプ椅子で埋めつくされている。 そして人口密度がヤバすぎる。誰か帰れ。 なんて思っていると、体育館の真ん中あたりの席からこちらに向かって手招きをする手が見えた。 「うお~い内村ぁ~、こっちだ~!」 朝原…。 もっと静かに呼べんのか?教師も含め新入生が一斉にこっち向いたじゃねーか。 周りからはクスクスと笑い声まで…朝原、後で殺す。 「君、遅刻か?早く行きなさい」 近くにいた教師に促され、とんだ羞恥プレイを乗り越えなんとか席についた。 どうやら俺は一年五組のようだ。出席番号は三番。ちなみに二番が朝原なのですぐ隣だ。殺りやすくて助かる。 席について一息つくと丁度校長らしき人の話しが終わったようで、生徒代表として生徒会長の挨拶が始まった。 「おお、来た来た!」 隣の朝原が身を乗り出して壇上に注目している。 その壇上には見慣れた幼なじみの姿。 「生徒会長かぁ…」 「おい内村、もっと喜べ!あの三嶋先輩が俺達の為に挨拶してくれてんだぞ!」 いやいや、別に俺達の為ってわけじゃなくて仕事だろ。 「かぁ~ほんっとにお前が羨ましいぜ!俺があの人の幼なじみだったら間違いなく猛アタックするけどな~」 興奮気味に朝原が言う。 「わかったから、落ち着け」 「お前は自分の恵まれた環境がわかってない!」 「……俺だってな、昔はあわよくば…なんて考えた事もあったけど、今の姿を見てもわかるだろ?俺なんかじゃ月とスッポン以上に釣り合わねーよ。俺と月姉は幼なじみってのが一番良いんだ。俺は満足してる」 言ってやると、朝原はつまらなそうに「ふん」と言って大人しくなった。
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