239人が本棚に入れています
本棚に追加
「内村、どうするよ?」
低い声で朝原が聞いてくる。
「フッ、決まってるだろ?」
「…そう言ってくれると思ったぜ…行くぞ!!」
朝原の掛け声に、俺達は二人同時に走り出した。
目的はただ一つ!
お近づきになるッッ!
「どぉぉもぉぉぉ!!世界の朝原でぇーすっ!」
まるで初めてのTV出演が嬉しくて仕方ないお笑い芸人のようなテンションで朝原がマルタイに取りついた。
「……」
かくいうマルタイはと言うと、少しでも気を抜けば内臓から破裂してしまいそうな殺気を帯びた瞳を、朝原の奇行に全く動じる事なく向けていた。
予想以上に目標は手ごわい…だが、ここで諦めるわけにはいかない!
見ててください姫様!あなたに助けられたこの命、立派に散らせてみせましょう!
「…どいてろ朝原」
俺はすでに動くことすらままならない朝原の前に立ちふさがった。
「う、内村、俺は…もう…」
「何も言うな。後は任せろ!」
言うと朝原は力無く崩れ落ちた。
敵は打つぞ!
俺はマルタイの方へ向き直り、口を開いた。
「そこのシャナさん!どうか俺と…なっ!?」
しまった…この俺がこんなミスを…。
クラス中の痛い子を見るような視線が俺と朝原に注がれている。
「貴様ら…どうしても首と体を離したいようだな」
さらにドスの利いた声で我らが担任様がそう言うと、ゆっくり俺らの方に向かってきた。
終わった…。
どうやら入学初日でクラスでの立場を焼却処分してしまったようです。本当にあり…ありが…と…グスッ…。
最初のコメントを投稿しよう!