170人が本棚に入れています
本棚に追加
「私は時の神(クロノス)だ」
神と名乗る男は艶やかな長い黒髪を揺らして立ち上がり、デーリッヒに手を差しのべた。
「行こう、我が家へ」
先程の空間とは違い、カントリーな外装の家に、広がる緑の高原。
しかし、家の中に入るとやはり奇妙だった。家のあちこちに時計が散りばめられているのだ。
そしてデーリッヒは思わず立ち止まる。
「……?」
鏡に映る自分。
それは全く異なる外見だった。
尖った耳、髪の毛のない頭、幼い顔、小さな体。
オマケに目の周りは隈ができたかの様に黒い。
「ああ、ちょっと外見は失敗しちゃったけど、それも中々愛嬌があって良いと思うよ?」
クロノスはデーリッヒの頭を撫でる。
ここは自分の知っている場所ではない。そう悟ったデーリッヒはテーブルにある椅子に腰かける。
「ここはどこ?」
「神界と人間界の間さ」
最初のコメントを投稿しよう!