〇、温かさを知らない

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  エースは背が高く、珍しい瞳の色もあってか、周りの目を釘付けにしている。色男というのはこういうものかと感心させられるくらいだ。 そしてエースをからかう少年も、どこか色気がある。色男ではないが、美男子には違いないだろう。 「マリ!エースも早くったら!」 「さあ行こうか、マリ?」 少女の声が聞こえると、今度はエースが口元に笑みを浮かべて少年──マリに言った。 マリは眉をよせ、顔をしかめる。 「ナンシーが待ってるぞ」 エースがそう言うと、マリは表情を改めて、ナンシーと呼ばれた少女の元へと歩みよった。 「チェリーが僕を質の悪いジョークでからかってくるんだ」 マリが困った様に眉を下げてやれば、ナンシーは頬をふくらませてエースを睨んだ。ナンシーの後ろで、マリは勝ち誇った様な微笑みを浮かべている。
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